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富山地方裁判所 昭和45年(わ)6号 判決 1970年5月29日

本店所在地

富山県高岡市金屋町一三八番地

有限会社

金栄商店

(右代表者代表取締役 金森栄一)

本籍

富山県高岡市金屋町一三八番地

住居

富山県高岡市金屋町二番三号

会社役員

金森栄一

昭和五年一二月二四日生

右被告人らに対する各法人税法違反被告事件について当裁判所は検察官宮澤正剛出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

1(一)被告有限会社金栄商店を罰金三五〇万円

(二)被告人金森栄一を懲役四月

にそれぞれ処する。

2但し被告人金森栄一に対しこの裁判確定の

日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告有限会社金栄商店は銅器の製造販売の業を営むもの、被告人金森栄一は同会社代表取締役としてその業務全般を統轄掌理しているものであるが、同被告人は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、公表経理上架空の材料仕入を計上しあるいは製品売上の一部を公表経理上除外するなど不正な方法により、会社の所得を秘匿したうえ、

第一、昭和四二年二月二八日、高岡市博労本町五番三〇号所在の高岡税務署において、同税務署長に対し、昭和四一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が一、六三六万一、〇九七円でありこれに対する法人税額が五五〇万七、八〇〇円であるのに、所得金額が八五万九、一九七円であり、これに対する法人税額が二三万二、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、右事業年度分の正規の法人税額と申告税額との差額五二七万五、八〇〇円については法定の納付期限に納付せず、もつて不正な行為により右同額の法人税を逋脱し、

第二、同四三年二月二九日、前記高岡税務署において、同税務署長に対し、同四二年一月一日から同一二月三一日までご事業年度における被告会社の所得金額が二、二七五万一、七七四円であり、これに対する法人税額が七七四万三、九〇〇円であるのに、所得金額が二二八万五、三八〇円であり、これに対する法人税額が六三万八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、右事業年度分の正規の法人税額と申告税額との差額七一一万三、一〇〇円については法定の納付期限に納付せず、もつて不正な行為により右同額の法人税を逋脱し

たものである。

(証拠の標目)判示各事実につき

一、被告人兼被告有限会社金栄商店代表者金森栄一の当公判廷における供述

一、被告人金森栄一の検察官に対する各供述調書

一、被告人金森栄一の大蔵事務官に対する各質問顛末書

一、大蔵事務官作成の告発書

一、国税査察官作成の昭和四五年一月二一日付報告書

一、金沢国税局税務官作成の脱税額計算書

一、大蔵事務官作成の昭和四四年五月七日付各証明書

一、検察事務官作成の電話聴取書

一、税理士村上行雄作成の昭和四四年一月一六日付上申書

一、検察事務官作成の昭和四四年一二月二四日付捜査報告書

一、税理士村上行雄作成の昭和四四年二月一二日付上申書

一、税理士村上行雄作成の昭和四四年四月三日付上申書

一、査察官山岸幸作成の昭和四四年二月三日付査察事件調査事績報告書

一、茅野一夫、茅野智恵子、小竹正孝、寺西敬一、島昭三、竹原忠作、専従数雄、増山順作、野寺庄七、村上武嘉、沢田勝謙、小谷信一郎、大源義次、釜谷寛、新保精作、関谷庄二、浦田健三、宮崎彦九郎、藤田とみ、氏家孝一、大谷喜作、畠春斎、和田ふさ、大西三次郎の大蔵事務官に対する各質問顛末書

一、査察官松田祐三郎作成の昭和四四年四月八日付査察事件調査事績報告書

一、熊谷友三、平野仁義、野田司郎、高岡為三郎、川上小すが、早川喜三郎、勝見陶一、小西徳太郎、寺崎友良、川辺正夫の大蔵事務官に対する各供述調書

一、税理士村上行雄作成の昭和四四年四月三日付上申書

一、十菱福太郎作成の昭和四四年一月三〇日付上申書

一、早川喜三郎作成の昭和四四年一月二八日付上申書

一、小林義平作成の昭和四四年一月二九日付上申書

一、査察官岡本良策ら作成の査察事件調査事績報告書

一、査察官松田祐三郎作成の昭和四四年四月九日付査察事件調査事績報告書

一、税理士村上行雄作成の昭和四四年一月一六日付上申書

一、査察官古谷直二作成の昭和四四年三月一五日付査察事件調査事績報告書

一、秋元英男、市川昭太郎、塩島鎌治、高木元子、伏江富美子作成の各回答書

一、横田清作作成の昭和四四年二月一〇日付上申書

一、越井一雄、佐野米治作成の各回答書

一、佐野米治作成の昭和四四年三月一日付上申書

一、佐野信子作成の回答書

一、柴田治三郎作成の昭和四四年二月一二日付上申書

一、岡豊、巽輝光、水谷鉄雄、本田貞夫、新田五六、中村桂子、渡辺壊、松下清、源信一、松井亜紀子作成の各回答書

一、六家勝太郎作成の昭和四四年二月六日付上申書

一、和泉敏郎、高山正次、大谷鉄夫、林まさ子、川原百合子、野尻豊市、畠春斎、池田達男、前田弘、梶原幸二、呉座谷咲子、山村愛子作成の各回答書

一、関谷兵二作の昭和四四年二月九日付上申書

一、鍋谷勝弘、山口義四郎作成の各回答書

一、査察官古谷直二作成の昭和四三年一二月二六日付査察事件調査事積報告書

一、査察官古谷直二作成の昭和四四年三月二二日付査察事件調査事積報告書

一、査察官松田祐三郎作成の昭和四四年一〇日付、同月一六日付、同月八日付各査察事件調査事績報告書

一、大蔵事務官作成の各現金予金有価証券等現在高校検査てん末書

一、加藤泰三作成の昭和四四年二月七日付、昭和四三年一二月四日付各上申書

一、加藤泰三の大蔵事務官に対する昭和四三年一二月四日付質問顧末書

一、番匠毅作成の昭和四三年一二月六日付上申書

一、正村俊雄作成の昭和四三年一二月一一日付上申書

一、査察官古谷直二作成の昭和四三年一二月二三日付査察事件調査事績報告書

一、黒田賢三の大蔵事務官に対する質問願末書

一、宇波菊男作成の昭和四四年二月五日付上申書

一、楠家正秋の大蔵事務官に対する各質問顛末書

一、堀田一夫作成の昭和四四年一月二八日付上申書

一、村井雪夫作成の昭和四四年一月二四日付上申書

一、査察官古谷直二作成の昭和四四年三月二五日付査察事件調査事績報告書

一、万尾武市作成の昭和四四年二月六日付上申書

一、査察官古谷直二作成の昭和四四年一月二五日付査察事件調査事績報告書

一、加藤泰三作成の昭和四四年一月二四日付上申書

一、査察官古谷直二の昭和四三年一二月二六日付、昭和四四年三月一七日付、昭和四三年一二月二七日付各査察事件調査事績報告書

一、金森よし子の大蔵事務官に対する質問顛末書

一、村上明の大蔵事務官に対する各質問顛末書

一、村上明の検察官に対する供述調書

一、登記官認証の登記簿謄本

一、押収してある元帳一冊(昭和四五年押第一二号の1)、金銭出納帳一冊(同号の2)、手形受払帳一冊(同号の3)、割引手形記入帳一冊(同号の4)、店別売上帳一冊(同号の5)、店別仕入帳一冊(同号の6)、伝票綴り一冊(同号の7)、元帳一冊(同号の6)、仕訳帳三冊(同号の9)、金銭出納帳一冊(同号の10)、店別売上帳一冊(同号の11)、店別仕入帳一冊(同号の12)、伝票綴り一冊(同号の13)、源泉徴収簿二冊(同号の14)、当座小切手帳一冊(同号の15)、納品書、請求書、領収書四綴(同号の16乃至19)、売掛帳三冊(同号の20)、定期預金メモ二枚(同号の21)、山一証券文書一袋(同号の22)、請求書六三枚入り一袋(同号の23)、手帳一冊(同号の24)、メモ一八四枚入り一袋(同号の25)、担保品受取通帳一冊(同号の26)、定期預金メモ五枚入り一袋(同号の27)、普通預金通帳二冊(同号の26、29)、代金取立手形通帳一冊(同号の30)、不動産の売買契約書二袋(同号の31、32)、日通路線扱運賃請求書三枚入り一袋(同号の33)

(法令の適用)

一、被告人金森栄一の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項(七四条一項二号)に該当するところ、所定刑中それぞれ懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において同被告人を懲役四月に処し、なお諸般の情状を考慮し、同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右の刑の執行を猶予し、

二、被告有限会社金栄商店については、その代表者である被告人金森栄一が同会社の業務に関して前示の各違反行為をしたものであるから、法人税法一六四条一項に従い同法一五九条一項の罰金刑を科すべく、しかして右各違反行為は前示のとおり刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で同被告会社を罰金三五〇万円に処する。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 木村幸男)

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